メンタルを守る3つの心の力

心がしんどいときの3つの力

メンタル不調で悩むと「自分には力がない」と感じやすいものです。でも実は、心の回復や前進を支える大切な3つの力があります。

  • 自己肯定感:できてもできなくても「自分には価値がある」と思える力
  • 自己効力感:やればできそうだと「行動を起こせる感覚」
  • レジリエンス:失敗や困難から「立ち直る力」

自己効力感は「スタートダッシュ」を支え、レジリエンスは「リカバリー」を助け、そして自己肯定感が全体の土台となります。

心の力は鍛えられる

不安や落ち込みが続くと「頑張れない自分は弱いのでは」と感じてしまいがちです。
しかし近年の研究では、**自己効力感(やればできそうだと思える力)レジリエンス(困難から立ち直る力)**は、後天的に高められることが分かってきています。


科学的な裏付け

  • 自己効力感を高める介入は学習成果を改善する
    システマティックレビューで、自己効力感を強化するプログラムが学習効果を高めると報告されています。
    👉 Frontiers in Psychology, 2022
  • レジリエンスはプログラムや認知行動療法で向上できる
    若年層を対象にした研究で、多成分プログラムやCBTが短期的にレジリエンスを高める効果が確認されています。
    👉 Frontiers in Psychology, 2023
  • 社会的支援 → 自己効力感 → レジリエンス → 行動改善
    高い社会的支援は、自己効力感とレジリエンスを介して「先延ばし行動」を減らすと報告されています。
    👉 BMC Public Health, 2024

① 自己肯定感を高めるセルフコーチング(4つ)

  1. 小さな承認の積み重ね
    • 今日できたことを意識的に振り返り、「朝ちゃんと起きられた」「挨拶できた」など小さな行動も承認します。
    • ノートやスマホに「できたリスト」を作ると、積み重ねが目に見えて自己肯定感が育ちます。
  2. 条件付きでなく「存在」を認めるセルフトーク
    • 「できるから価値がある」ではなく「できなくても私には価値がある」と声をかける。
    • ネガティブな思考が強いときは、「でも大丈夫、私は少しずつ成長している」と付け加えるのも効果的。
  3. 体の感覚を整えて“安心”を土台にする
    • 呼吸を深める、肩をほぐす、ツボ押し(例:合谷や内関)などでリラックス。
    • 心身が緩むことで「自分を認めやすい状態」に入れます。
  4. ありたい姿を小さな行動に落とす
    • 「自分に優しい人になりたい」→「夜寝る前に自分をねぎらう一言を言う」
    • 行動レベルに変換すると、自分を評価しやすくなります。

② 自己効力感を高めるセルフコーチング(4つ)

  1. マスタリー体験(成功体験の再体験)
    • 過去に「できたこと」を振り返り、「あのときもできたから今回もできる」と再確認する。
    • 小さな成功を積み重ね、スタートダッシュを意識して行動に弾みをつける。
  2. 代理経験(他者の成功を参考にする)
    • 「あの人も最初は不安だったけどできている」と知るだけで、自分もできそうと感じやすくなります。
    • 近い立場の人の例がより効果的。
  3. 言語的サポート(具体的な励まし)
    • 「ただ頑張れ」ではなく「最初の3分だけ集中すればいいよ」など行動がイメージできる言葉を自分にかける。
    • 積み重ねてきたことを論理的に伝える、書き出して貼っておくと日常で効きやすい。
  4. 心理・感情の安心感をつくる
    • 緊張を和らげる呼吸法、心地よい身体の感覚に意識を向ける。
    • 安心の土台があると挑戦のエネルギーが湧きやすい。

③ レジリエンスを高めるセルフコーチング(4つ)

  1. セルフトークで気持ちを整える
    • 「今は苦しいけど、これは一時的」「この経験から学べることがある」と自分に声をかける。
  2. 認知の柔軟性を持つ
    • 「失敗した=終わり」ではなく「失敗=次の改善点が見つかった」と視点を変える練習。
  3. 支援を求める力を意識的に使う
    • 一人で抱え込まず「専門家に話す」「友人に相談する」ことをセルフコーチングの一部として組み込む。
  4. 意味づけの力を高める
    • つらい出来事に「この経験が自分を強くしている」と意味を与える。
    • 書き出して「学び」に変えると、心が立ち直りやすくなる。

セルフコーチを続けるちょっとした工夫

セルフコーチは「自分との小さな対話」。でも続けるのって意外とむずかしいものですよね。
そこで、無理なく続けやすくなる工夫をご紹介します。

  • 小さな一歩でOK
    「今日できること」だけに絞ると達成感が積み重なります。
  • 書き残してみる
    ノートやアプリに「やったこと・気づき」を記録すると、成長が見えてやる気に。
  • 自分にごほうび
    小さなご褒美が「またやろう」という気持ちをつくります。
  • 誰かにシェア
    友人やSNSに話すだけで、自然と続けやすくなります。
  • 完璧じゃなくて大丈夫
    「少しでもできたら花丸」と思えると、気持ちがラクになります。

続けるコツは「ゆるく、でもやめないこと」。
毎日の小さな積み重ねが、未来のあなたをやさしく支えてくれます