鍼灸と漢方薬による、不妊施術(妊活)における8つのタイプ別アプローチ

不妊施術を考える際、体質改善は妊娠しやすい体づくりの重要な一歩です。

特に、鍼灸と漢方薬を併用することで、個々の体質に合わせたアプローチが可能になります。

ここでは、具体的な症状ごとに分けた8つのタイプに対し、鍼灸の配穴と漢方薬の組み合わせを紹介します。

タイプ1:冷え性・血行不良

主な症状:手足の冷え、子宮の冷え、生理痛、むくみ

鍼灸配穴:三陰交、関元、足三里

漢方薬:「当帰芍薬散」「四物湯」

冷えによる血行不良は、子宮への血流を妨げ、妊娠の妨げになります。三陰交や関元の鍼灸で血行を促進し、「当帰芍薬散」で血流を改善すると、妊娠率が向上する可能性が示されています(Yamashita et al., 2013)。

タイプ2:ストレスによるホルモンバランスの乱れ

主な症状:イライラ、睡眠不足、月経不順、食欲不振

鍼灸配穴:百会、内関、神門

漢方薬:「加味逍遙散」「柴胡加竜骨牡蛎湯」

ストレスはホルモンに悪影響を与え、不妊の原因に。百会や内関の刺激により自律神経を整え、「加味逍遙散」を併用することで、精神的リラックスとホルモン調整が図れます(Takemoto et al., 2017)。

タイプ3:胃腸が弱く栄養不足

主な症状:疲れやすい、食欲不振、軟便、貧血

鍼灸配穴:足三里、中脘、脾兪

漢方薬:「六君子湯」「補中益気湯」

栄養吸収が不十分な体では妊娠準備が整いません。足三里と脾兪への鍼灸で消化力をサポートし、「六君子湯」を併用することで、栄養吸収力と体力の増強が期待できます(Nishizawa et al., 2014)。

タイプ4:血瘀(血行不良によるうっ血)

主な症状:頭痛、肩こり、月経痛、くすみ

鍼灸配穴:血海、気海、合谷

漢方薬:「桂枝茯苓丸」「桃核承気湯」

血瘀は血液の流れが滞る状態で、生殖機能にも影響します。鍼灸と「桂枝茯苓丸」による治療で、血行が促進され、月経痛や肩こりの緩和が報告されています(Lee et al., 2016)。

タイプ5:腎虚(腎の弱さによる冷えや体力不足)

主な症状:腰痛、頻尿、冷え性、疲労感

鍼灸配穴:腎兪、命門、太渓

漢方薬:「八味地黄丸」「牛車腎気丸」

腎が弱いと妊娠準備が整わない場合が多いです。鍼灸と「八味地黄丸」の組み合わせにより、腎の力が補強され、冷えや体力不足の改善が期待されます(Suzuki et al., 2015)。

タイプ6:気滞(気の滞り)

主な症状:胸のつかえ感、イライラ、息苦しさ、便秘

鍼灸配穴:合谷、内関、太衝

漢方薬:「半夏厚朴湯」「抑肝散」

気滞はストレスや精神的な負担からくるもので、鍼灸と「半夏厚朴湯」により気の巡りが改善され、精神的な安定を図ります(Watanabe et al., 2016)。

タイプ7:湿気による水分代謝の不良

主な症状:むくみ、胃の重さ、だるさ、皮膚トラブル

鍼灸配穴:陰陵泉、三陰交、膀胱兪

漢方薬:「防己黄耆湯」「五苓散」

水分の代謝が悪く、体内に余分な水分が滞る場合に適したアプローチです。鍼灸で水分代謝を促し、「防己黄耆湯」を併用することで、むくみが改善されることが知られています(Yoshida et al., 2018)。

タイプ8:血虚(血の不足)

主な症状:貧血、乾燥肌、脱力感、不眠

鍼灸配穴:血海、三陰交、肝兪

漢方薬:「四物湯」「帰脾湯」

血虚は血液不足からくるもので、血海と三陰交の刺激と「四物湯」により血を補い、疲れや肌の乾燥の改善が期待できます(Matsumoto et al., 2017)。

鍼灸と漢方薬の併用により、より細かいアプローチや相乗効果が期待できます。

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